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放射線セシウムとヨウ素の人体への影響ACCESS

放射性セシウム
 セシウムは、ナトリウムやカリウムと類似した科学的性質があり、体の中では同じような代謝を受けます。
体内のカリウムは、ほぼ九割が細胞液中に含まれ、残りは骨や細胞外の体液に含まれます。そのため、カリウムは、筋肉組織などに多く分布しています。私たちは、日々の食事でカリウムを摂取し、尿や汗や便として排泄し、体内のカリウムの濃度をほぼ一定に保っています。もし、この代謝バランスが崩れれば、例えば高カリウム血症のような病気になります。
 セシウムはカリウムと異なって人体の代謝に必須の元素ではありませんが、体内に摂取されると、ほぼカリウムと同様の代謝過程をたどります。そのため、体内に摂取すると、主に筋肉組織に分布し、やがて尿や便とともに排泄されます。
したがって、水銀やその他の重金属のように体内の特定の器官に蓄積されることはありません。

放射性セシウムを体内に摂取した場合、どのくらいの器官で排泄されるかに関しては、1960年代に動物などを使っての実験が行われ、摂取した量の半分を人体から排泄するのに要する期間が、成人で百十日くらいであることが確かめられています。

魚やその他の海洋生物も、人と同じようにカリウムを代謝しますのが、可食部分中の放射性セシウムの濃度は海水中の放射性セシウムの濃度と平衡状態あり、回遊性の魚が放射性セシウムを蓄積することはありません。ただし、いったん放射能濃度の高い海水で過ごすと、体内の放射性セシウムの濃度も海水の濃度に追随して上昇しますから、放射性濃度の低い海水に戻っても、体内の放射性セシウム濃度が海水と平行に達するには時間的遅れが生じます。さいわい、海水中に生息する生物は、盛んに塩分を排泄する必要がありますので、排泄に要する時間は人間の半分以下しかかかりません。
     文献:「放射線・放射能が良くわかる本」 多田順一郎著 Ohmsha 引用

 人体に取り込まれた放射性セシウムは、細胞組織の合成と代謝を減退させ、その結果、多くの重要臓器系で異常を引き起こします。科学的研究の結果を考慮すると、比較的低い濃度(20~30Bq/kg)であっても、放射性セシウムが体内に取り込まれれば、深刻な病理学的変化を引き起こしたり、生態の適応・代償機構を変化させたりする原因になりえます。

     文献:「放射性セシウムが人体に与える医学的生物学的影響 
            チェルノブイリ原発事故被爆の病理データ」
             ユーリ・I・バンダジェフスキー 著 合同出版 引用

放射性ヨウ素
 ヨウ素は、甲状腺ホルモンに含まれる元素なので、人の体の中では甲状腺に集まる性質があります。そのため、ヨウ素131を飲食物とともに取り入れると、そのおよそ3分の一が甲状腺に集まりますので、甲状腺が最も多くの放射線を受けます。チェルノブイリ原子力発電所の事故の際には、子供たち、約五千人の甲状腺がん患者がみつかりました。

 甲状腺への放射性ヨウ素の取り込みを減らすために、安定ヨウ素剤を投与することは、今では良く知られていて、福島第一原発の事故のあと、多数のネット販売のサイトが立ち上がりました。しかし、ヨウ化カリウムは劇薬に指定されている医薬品で、甲状腺機能や腎機能に障害を持つ人や、ヨウ素アレルギーのある人には慎重な投与が必要です。また、妊婦や授乳中の母親に投与すると、胎児や乳児に甲状腺機能低下症などを引き起こす危険がありますので、服用に際しては医師の指示を受ける必要があります。

 安定ヨウ素剤が甲状腺へのヨウ素取り込み防止に効果的に働くのは、放射性ヨウ素を摂取する前か摂取後直ぐに服用した場合で、放射性ヨウ素を摂取してから時間が経つにつれて防護効果は弱くなります。
また、ヨードチンキやヨウ素系のうがい薬を飲んでも、ヨウ素の含有量が低くあまり効果が期待できないうえ、これらは内服薬として使用する薬剤ではありません。福島第一原子力発電所の事故の際には、インターネットに流れたうわさを真に受けてヨウ素系のうがい薬をのみ、かえって体調を崩した人も現れました。

   文献:「放射線・放射能が良くわかる本」 多田順一郎著 Ohmsha 引用
 


γ線エネルギーと半減期

セシウム
  Cs134 : 569.4  keV       半減期は2年
         604.7  keV
         795.8  keV
         1168   keV
         1365.2 keV

  Cs136 : 1048.1 keV

  Cs137 : 661.64 keV      半減期は30.2年
                        ベータ崩壊後バリウムへ、
                       その際ガンマー線放出

ヨウ素
  I-131 :   80.2  keV      半減期は8.1日で、ベータ崩壊すると
         284.3  keV      半減期11.8日の131mXeとなる。
         364.5  keV      なお、1日後で最初の90 %になり、、
         637   keV      8日後で50 %30日後で1/13、
         822.9  keV      60日後で1/170、
                       90日後で1/2200となる。

  I-132    667.7  keV      半減期は2.3時間。
         772.6  keV
         945.6  keV
        1398.6  keV

ストロンチウム
  Sr-90                 半減期は28.8年

コバルト
  Co60  : 1.17  MeV      半減期は5.3年
         1.33  MeV